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【開業経営コラム】キャッシュが残る店と残らない店の違い

2025年12月22日（月）

こんにちは！大阪飲食店開業支援センターの中野です。

　「売上はそこそこあるのに、なぜかお金が残らない」

　飲食店経営で最も多い悩みが、この“キャッシュの不安”です。実際、廃業理由の多くは赤字ではなく、資金繰りの悪化＝キャッシュアウトです。では、なぜ同じような規模・売上でも、キャッシュが残る店と残らない店に分かれるのでしょうか。そこには、明確な考え方と行動の違いがあります。

■1｜残る店は「利益」より先に“現金の流れ”を見る

　キャッシュが残る店は、まずお金の出入りのタイミングを把握しています。一方、残らない店は「今月は黒字か赤字か」だけを見がちです。

　たとえば、

売上は現金・即入金

仕入れは月末締め翌月払い
この場合、帳簿上は赤字でも、手元資金は一時的に増えることがあります。

　逆に、

クレジット比率が高い

先払いの仕入れや設備費が多い
と、黒字でもキャッシュが減るケースもあります。

　利益＝キャッシュではない
　この前提を理解しているかどうかが、最初の分かれ道です。

■2｜残る店は「固定費」を最初に疑う

　キャッシュが残らない店の多くは、固定費が重すぎます。
特に注意すべきは以下の3つです。

家賃

人件費

借入返済額

　これらは売上が落ちても簡単には下げられません。
私がこれから開業を考えているお客様との事業計画で必ず考えていることが
「売上が7割になっても耐えられるか？」
という視点です。
事業は何もかも計画通り進むわけではありません。
売上が7割になったときに資金がショートするほどの固定費は危険です。

　開業時に家賃を背伸びしすぎる、必要以上にスタッフを抱える、返済計画に余裕がない。こうした判断が、後々じわじわと資金を圧迫します。所謂ジリ貧ってやつです。

■3｜残らない店ほど“忙しいのに儲からない”

　意外に思われますが、キャッシュが残らない店ほど忙しい傾向があります。理由はシンプルで、利益率の低い売上を積み重ねているからです。

　・原価が高い
　・手間がかかる
　・客単価が低い

　この状態で売上を追いかけると、
「仕込みが増える → 人件費が増える → キャッシュが減る」
という悪循環に入ります。

　一方、残る店は
　「売上より粗利額」を重視します。
　たとえば、売上1万円でも粗利7,000円の商品と、粗利3,000円の商品では、同じ忙しさでも残るお金がまったく違います。

■4｜残る店は“資金のクッション”を削らない

　キャッシュが残らない店ほど、余裕がないときに
・値下げ
・無理なキャンペーン
・広告の打ち過ぎ
に走りがちです。

　しかしこれは、短期的に売上を作れても、キャッシュをさらに減らす行為になりやすい。

　残る店は、

運転資金を常に把握

「最低◯カ月分は触らない」というラインを決める

調子が良くても一気に使わない

　という守りのルールを持っています。
　資金のクッションは、経営判断を冷静にするための「保険」です。

■5｜残る店は“数字をシンプルに見ている”

　キャッシュが残る店ほど、見ている数字は多くありません。

月の固定費合計

原価率

粗利額

手元資金残高

　この4つを毎月チェックするだけで、危険信号は十分に察知できます。
反対に、残らない店ほど数字を見ないか、複雑にしすぎて判断が遅れます。
　飲食店の場合は、ＦＬやＦＬＲも付け加えて確認することをおすすめします。

■6｜キャッシュが残る店は「派手な成功」を目指さない

　キャッシュが残る店と残らない店の違いは、才能や努力ではありません。
お金の見方と、使い方の優先順位の違いです。

　派手に儲けるより、
「静かに、確実に残す」
この感覚を持てるかどうかが、店を長く続けられるかを決めます。

　売上は一つの結果に過ぎず、キャッシュは事業の命綱です。

　いくら売り上げよう！ではなく、いくら残そう！という感覚を覚えることが、個人店経営のいちばん堅実な戦略ではないでしょうか。

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