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【開業経営コラム】個店のための省オペレーション設計

2025年12月05日（金）

こんにちは！大阪飲食店開業支援センターの中野です。

飲食店の開業準備をしていると、多くの方が「味」「コンセプト」「立地」に意識を集中させます。
しかし実際に店を続けていくうえで最も重要になるのが、“どうやって少人数で回すか”という省オペレーションの設計です。
とくに個人店ではアルバイトを多く抱えられず、採用も安定しにくいため、開業前の段階から“省オペ思考”を持っておくことが経営の安定につながります。

多く見られるのが、「オペが大変だからメニューを減らそう」という判断です。しかし、単純に数を絞るだけでは逆効果になることがあります。

省オペとは、「売れるメニューに集中する仕組みづくり」です。

メニューを減らしても、看板商品の魅力が弱まれば客離れを起こします。逆に、人気メニューの調理負担が高いままだと、人数が少ない日には回らなくなります。

大切なのは 工程の軽さ × 売れやすさ × 粗利 のバランスを設計し直すことです。

以下は、成功する省オペの3つの例になります。

① 作業を減らす
・仕込みは外注できる部分を積極的に外部化する
・看板商品の工程を整理し、無駄を省く

特に効果が大きいのは「仕込みの標準化」。誰がやっても同じ味になる工程にしておくと、経験者頼りの不安定なオペから脱却できます。

② 動きを減らす
・通路幅、動線、配膳の順番を紙に描く
・配膳距離が短くなる席配置にする

省オペの本質は「調理よりも動線」。動く時間が減るだけでピークタイムのストレスが一気に下がります。

③ 判断を減らす
・オーダー方法を統一する
・盛り付けをパターン化する
・セット化・プリフィックス化で選択肢を整理する

判断が減るとミスが減り、スピードが上がり、スタッフ教育もラクになります。

成功している個人店の特徴としては
「仕込みを軽くし、提供価値は落とさない」
という共通点があります。

たとえば、煮込み・焼き・蒸し・低温調理など、火加減の難易度が低い調理法を核にすることで、経験差に左右されにくいオペを実現しています。

省オペレーションは、単にコストを下げるだけでなく、お客様に『ストレスのない体験』を提供します。その結果、『落ち着く店』『待たされない店』という評価が増え、広告費をかけずに再来店率が上がるという、最高の経営効果を生み出します。

上記の内容はすべて開業後のことと思われがちですが、これから開業する方も
開業後の安定を実現するためにぜひ省オペを考えてください。
開店してからオペを軽くしようとすると、厨房レイアウトも変えづらく、負担が大きくなります。例えば開業前に以下をしておくだけで、運営が驚くほど安定します。

・レシピを“工程数×手間”で評価する
・動線を紙に書いて、最短距離になるかをチェック
・誰が作っても味が安定する仕組みに寄せる
・忙しい日でも回るか？を基準にメニューを考える

省オペは決して手抜きではなく“価値を守る技術”と思ってください。
省オペというと“簡素化”のイメージがありますが、実際には
「店の世界観を壊さず、生産性を高めるための工夫」です。

人手不足に悩みやすい個店こそ、「続けられる店」になるために省オペを実践するべきです。
それを実践し、続けていけるお店こそが最終的には「勝ち残るお店」になると私は考えます。

省オペレーションは、特別なノウハウでも、技術でもありません。それは、「お客様と長く付き合うために、オーナー自身が無理なく続けられること」を突き詰める、ごくシンプルな設計思考です。

開業準備の忙しい今だからこそ、厨房の図面やレシピ帳を前に、ぜひ一度立ち止まってください。今日このコラムを読んだことが、あなたの店を「10年後も愛される、強い店」にする最初の一歩となれば幸いです。

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